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空間環境系の優れた作品に贈られる社団法人日本ディスプレイデザイン協会の「ディスプレイデザイン賞2008(カテゴリーB)」に、竹中建築計画工房が設計した複合医療施設「医療法人社団若葉会・高重記念クリニック」(富山市)、「田上メガギャメラ(社会福祉法人慈光福祉会・田上保育園)」(金沢市)の2作品が選ばれた。今回で41回目を迎える歴史あるデザイン賞において、幾多の応募作品がありながら建築分野からのダブル入賞は快挙。竹中健次所長が独自のデザイン論を語ってくれた。
まずは、入賞おめでとうございます。
「初めての応募で1件だけならまだしも、2件とも入賞したのには少し驚いている。普通はショップのディスプレイのようなものが多いのですが、カテゴリーBは医療福祉関係部門で通常のディスプレイとは違い、例えば患者たちが心地良いような空間デザインだったりします。どの辺が評価されたのかは分からないんですよ…」
「高重クリニックは患者に和みの場を提供し、田上メガギャメラは卒園しても園児の記憶に残るようなものにしたかった。私が理解しているディスプレイは、施設を訪れる人だけじゃなく、その建物のそばを道行く人に対してもどう印象づけるかにあります。私の考えとしては、病院や保育園はそれ自体が商品で、そういう考え方は決して的外れではないと思っている。学校教育的なディスプレイの考え方だと意外性を持つ人もいるかもしれないのですが」
氏が考えるデザインとは。
「デザインは今、専門化と広域化している両方の部分がある。30年程前の僕らの学生時代は、デザインはこんなもの、インテリアはこんなものと、今の医学教育と同じように専門特化して教えられた。でも、実際にふたを開けてみると、それらはクロスし、オーバーラップしているのです。最近のデザイン業界は細かくパーツに分けたり、クロスさせたりしてやっています」
「東京だと田舎と違ってプロデューサーやディレクターの存在が大きい。プロデューサーが一つの企画に対してこういうパーツが必要とコーディネートすると、それをディレクターに投げかけて、ディレクターがデザイナーや作家にコーディネートする。広域的にやるためにはそうした事が必要になってきている。情報が多角化する中、それだけ総合的に判断する物件が増えているのかもしれない。そういった中で、今までの固定概念では今回の入賞作品がイレギュラーに見えるかもしれないが、僕自身はちゃんと理解してやっているつもりです」
「デザインと機能は相反するものではないのですが、工学部的な建築の教育では技術とデザインを別に教えられているのが現実です。僕は美大を卒業しているので、機能だけではなく、その中にはデザインが不可欠なんだという考えです。もともとのスタートが違うのかもしれませんね。生意気かもしれませんが、仮に写真映りだけの仕事をしてたら継続的には仕事が来ていなかったはず。美大出のレッテルを貼られると誤解されがちなのですが、今の時代、専門家よりも一般のユーザーの方が感覚的機能美というものを十分に理解している気がします」
「純粋美術とデザインをごちゃ混ぜにしてはいけないのです。横穴式の住居はそこに機能が発生して初めてデザインが付加する。ウォールアートも見る人に訴える広告。ロシア革命でいえばアバンギャルド。あれは革命政府の広告に乗った戦略。建築でもそうなのです。歴史を良く勉強すれば理解していただけるはず。物事を領域性で判断すると発想が貧弱になりがち。実際にその辺を理解していない設計事務所も多いのでは。東京じゃこんな話で盛り上がるのですが、田舎じゃ見向きもしてくれません。残念なのですが」
どういう発想が必要なのですか。
これからは。
「特別な事は何も考えていません。これからも責任を持って自分のポリシー通りにやるだけです。そして、クライアントの立場に立ってだけ考えればいいのではないでしょうか。賞を獲ればいいという訳でもないのですよ。ニーズを理解し、時代を見取ることが肝心。30年前に僕のやり方だったら、まず仕事はこなかったでしょうね。(笑)今ではいろんな意味で真似されてますけど」