天才じゃない限り、8割は理論体系の中でやるしかない
竹中建築計画工房(金沢市)の竹中健次氏は、昨年設計した生花店「フラワーズ・モト」(金沢市鞍月東2-32、施工=三井住友建設)がこのほど第39回SDA賞(日本サインデザイン協会主催)
で入選した。「学生時代から知っていた伝統と権威ある賞なので嬉しい」と率直に喜んでいる。2002年のグッドデザイン賞以来、全国コンテストでの受賞は5度目となる。
入選作では、上向きにカーブしたコンクリート屋根が軽やかさを表現。また、前庭に置かれた透明な強化ガラス(幅1.8×高さ1.8m2)は、夜にライトアップされて美しく映える。
「ロードサインをファサード全体の中にどう位置づけるか」が最大のテーマだったが、施主が関心を持つ“風水”にも苦労した。水回りや玄関の配置などで制約が多く、プランに
半年以上もかかった。「風水とモダニズムを融合させるのは本当に難しい」と痛感させられた。
建築デザインはよく感性の産物と勘違いされるが、「モーツァルトのような天才でない限り、8割方は理論体系の中でやるしかない」と、若い頃からカンディンスキーの抽象芸術論
やコンセプチュアル・アートの方法論なども学んできた。
自らを「時代とともに生きる建築デザイナー」と規定する。そうした観点から「時代を引っ張る建築家」の一人、妹島和世氏に対して「新しい概念を打ち出さんがために人間の五感
を無視し、日常的な生活感を切り捨ててしまった」と残念がる。
昨年のベネチアビエンナーレで金獅子賞を受賞するなど世評高い「金沢21世紀美術館」(設計=妹島和世+西沢立衛/SANAA)に対しても、「お祭り空間としては面白いけど、
(円形の)館内を歩いていて、ふと自分がどこにいるのかわからなくなったりする。情緒不安定だと、芸術鑑賞どころじゃない」痛切な批判の矢を放つ。
(建設工業新聞/2005年7月12日)
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