池田邸
世代間の語らいを考慮した進化する二世帯住宅
読者の中にも両親と同居している方は多いと思う。将来、老いた親の世話と子供たちの教育とを同時に成し遂げようとするなら、快適な二世帯同居住宅の建設は絵空事ではない。
昨年8月に完成したI邸は、デザイン的にも機能的にも熟考された二世帯住宅である。
Iさんの両親が一階に、Iさん夫婦と三人の子供たちが二階に暮らすというように、階層で世帯の住居空間を区分けしている。玄関も一階と二階に分かれており、台所も別々だ。
生活の場も対角線上にあり、両親の部屋は南向き、Iさん夫婦と子供たちの部屋は北向きである。
名古屋出身のIさんは、竣工を待って自分の両親を新居に呼び寄せた。「親が動けなくなってからそばで看るのではなく、今から一緒に生活しようと考えた。親とは生活の時間帯が違うので、日々のコミュニケーションはそんなに多くはないが、同じ家に住んでいるという精神的安心感が親と私たち夫婦、そして孫、つまり子供たちを結びつけているようだ」
設計を担当した竹中健次さん(竹中建築計画工房)は「世代間の語らいを意識した。構造的にもおもしろくしてある」と説明する。
確かに中庭、ロフト、屋上とあらゆる空間がしつらえてある。
「こういう家ができたことは竹中氏のコンセプトと私の意図とが合致したということ。具体的な形にしていくのは建築家ですから」と、Iさんは満足そうに語る。
Iさんは和風の家を好まず、建材もコンクリートや金属が好きだという。「20世紀の人間がつくり出したものは、20世紀の人間が使うべき」という思いがあり、外観・内観ともに無機的な建材が多用されている。
それが機能的にもデザイン的にも住宅の進化を彷彿とさせる、完成度の高い住まいに形を変えてそこに建っているのである。
(CLUB「住宅最前線」より/1997年4月号)
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