野々市町 前川邸
決して大きくはないけれど、周囲から僕らを守ってくれる頼もしい家なんです。
前川邸は容易に見つけることができた。やわらかい紫色の外壁が『ここだよ』と、私たちを歓迎しているかのよう。愛らしい家に、一目で親しみを覚えてしまった。
家のなかはカラフルだが、決して派手ではない。紫に合わせて用いられた黄色やグリーンの配色が実に効果的で、家の表情が明るくなっている。
「建築物にリズム感があると、そこにいる人の気持ちもリズミカルに、明るくなると思うんです」とは設計を手掛けた竹中さん。色やデザインでリズムを生み出すよう配慮したという。特に部屋から中庭に出る際には歩調のリズムをそこなわないよう、段差や足元の材質に気を配った。
「家がほしいと思い始めた頃から、中庭のあるコートハウスを夢見ていました」と前川さん。「外から生活が丸見えの家は落ち着かないんです。今はまだこの辺りは見晴らしのいい地域ですが、10年後、20年後にはほかの家に囲まれてしまうでしょう。ですから庭も中庭でないと」
家を長く機能させたいなら、時とともに移り変わって行くであろう事柄を考慮しての設計が必要だろう。
「始めは独身だったのに、設計中には結婚もしましたしね」とテレ笑いする前川さんだが、「住む人間も周りの環境も絶えず変化していくんですよね。でもこの家は、僕らがどんな風に変化しても、きっと味方でいてくれます」と、設計士とうなずきあうのだった。
(CLUB「こんな家がほしい!!」より/1994年3月号)
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